誰しも起こり得る腰痛

 
 

1.腰痛の原因

 腰痛の原因は様々ありますが、その多くは腰の骨の加齢による変化(腰椎の退行変性)によるものです。腰椎は軟骨(椎間板)と骨(椎骨)からできており、これらは身体を支えながら動かすという、複雑な役割を担っています。そのため、退行変性が起こりやすく、その異常が症状として現れやすい部位です。

 

2.腰痛と腰痛に伴う症状

 腰椎の退行変性による腰痛は、誰しも起こり得るといえます。命に関わることは滅多になく、身近な症状だからこそ、「この程度の腰痛なら、がまんできるだろう」「皆痛いと言っているし、こんなものだろう」そんな風に考えている方も少なくないと思います。
 
 しかし、誰しも起こり得る症状である一方、腰は字のごとく身体の要(かなめ)であり、腰痛はしばしば、日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼします。慢性化すると、心理的にも影響し、それが症状を悪化させることもあります。
 また、腰を支配する神経は、下肢(足)も支配しています。このため、腰痛が現れた時の神経の異常は、時に下肢の症状も引き起こすこともあります。椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの有名な病気もこのような理由で腰や足の症状が出現します。
 

3.腰痛の鍼灸治療

 これらの症状は、画像診断(レントゲン・MRIなど)において、はっきりとした異常を認めないことも多く、また、「年齢相応」ということで片付けられてしまうケースも見受けられます。
 
 鍼灸治療において、画像所見は治療を進めるうえで、もちろん有用な情報となりますが、患者さんの訴える症状に重点を置いて診察していきます。そして、症状の原因となっている神経に、直接的または間接的に鍼あるいは灸刺激をすることによって、症状を緩解へと導きます。
 通常、数回の治療で効果が現れますが、効果がみられない場合や強い症状(特に下肢症状)が残る場合は、本学の附属病院や附属鍼灸センターと連携して、さらに専門的な治療も提供しております。
 →[詳細はこちら]附属鍼灸センター・慢性腰痛/末梢神経障害専門外来
 

  今枝美和