腰部脊柱管狭窄症

 
 

1.脊柱管とは?

 脊柱とは、椎骨と言われる骨が連結し柱状になったもので、一般的には「背骨(せぼね)」と言われています。脊柱のほぼ中心には椎骨が連結することにより出来た管状の腔隙があり、それを脊柱管と言います。脊柱管の中には脊髄や神経根(脊髄から出る手・足等を支配する神経の根元)があり、脊柱は身体の支柱としての機能を持つと同時に、手・足等を支配する神経を保護する重要な機能を担っています。
 

 

  

2.脊柱管狭窄症とは?

 脊柱管狭窄症とは脊柱管が何らかの原因(多くは加齢的変化)で狭くなり、中にある神経が障害を受け、頚部、腰部、あるいは手足の症状が出現する疾患です。腰部脊柱管狭窄症とは、腰部で脊柱管が狭くなり発症したもので、腰痛、足の痛み・しびれとともに、特徴的な症状として間欠跛行(歩行や立位姿勢により足の痛み・しびれや脱力が出現し、しゃがんで休むとまた歩行等が可能となる症状)が出現します。

 

 

3.腰部脊柱管狭窄症に対する鍼灸治療

 この疾患による症状発現の原因は、脊柱管が狭くなり、足を支配する神経の血流が低下するためと考えられており、鍼灸治療の最大の目的は神経血流を増加させることです。神経血流を増加させる鍼灸治療として、1.「傍脊柱部刺鍼(脊柱の周囲への刺鍼)」、2.「陰部神経鍼通電療法(臀部にて陰部神経付近まで刺鍼し電気的に刺激を与える)」、3.「神経根鍼通電療法(障害を受けた神経の根元付近まで刺鍼し電気的に刺激を与える)があり、臨床的な効果を認めています。症状の程度や性質によりこれらの治療法を使い分けます。治療による神経血流の変化(動物実験による)をそれぞれ上から順に図1、図2、図3に示しますが、神経血流が増加する理由はそれぞれで異なります。
 
 
図1  傍脊柱部刺鍼時の神経血流(治療前 治療中)
 

 
図2  陰部神経鍼通電療法の神経血流(治療前 治療中 治療後)
図3  神経根鍼通電療法の神経血流(治療前 治療中 治療後)